複合機でスキャンデータをPCへ直接保存するための覚え書き
いつもお世話になっております!
今日は業務処理向上の為の(ほぼ個人的な)覚え書きです。
業務上図面などを紙媒体では無く一旦スキャンし、PDF化した図面をメールで送るやりとりが多く出ます。
以前より社内ネットワーク上の複合機でスキャンしたデータを直接PCに取り込んでいましたが、先日PCを新しくした際に多くのトラブルがありましたので実際解決した方法を記録として残しておきます。
覚え書きの為、画像での説明はありませんのでご了承下さい。
私の設定環境は以下です。
設定がわからない方や困っている方のヒントになれば幸いです。
OS:Windows10
複合機:Xerox DocuCentre-VI C3371
広幅複合機:Xerox DocuWide 3035
共にネットワーク接続での使用
スキャン出来るまでの確認事項
基本設定
- スキャンデータ用の共有フォルダ作成
- ネットワークの共有設定
- 複合機の送信先設定
通常はここまででスキャン出来ると思います。
でも私の場合、パソコンの初期設定でのミスもあり以下の作業を追加いたしました。
スキャンエラー対応策
- SMB 1.0を有効化
- コンピューター名を変更
- アカウントのユーザー名を変更
- ユーザーフォルダ名を変更
基本設定から追加作業までを簡単に載せていきます。
※追加で行った作業の一部は間違った作業をすると最悪パソコンが起動しなくなるなど危険性を含んでいますので、全く知識のない方は行わないようにしてください。
スキャンデータ用の共有フォルダ作成
デスクトップに共有フォルダ【scan】を作るものとします。
- フォルダ名【scan】を作成
- 作成したフォルダを右クリックしてプロパティを開く
- 「共有」タブを開き「共有(S)」をクリック
- ドロップダウンより「Everyone」を選び「追加」をクリック
→ 追加した「Everyone」の「アクセス許可のレベル」の▼をクリックして「読み取り/書き込み」を選択する
→ 下の「共有(H)」をクリック - 「詳細な共有(D)」ボタンをクリック
- 「このフォルダーを共有する(S)」にチェックを付ける
→ 「アクセス許可(P)」をクリック - 「グループ名またはユーザー名(G)」枠内のEveryoneを選択
→ 「アクセス許可(P)」枠の「変更」「読み取り」許可にチェックして「OK」 - 詳細な共有を「適用」して「OK」
- 「セキュリティ」タブの「編集(E)」をクリック
- 「Everyone」を選択して、「アクセス許可(P)」枠の「変更」許可にチェックして「OK」
以上でフォルダ作成は完了です。
ネットワークの共有設定
複合機からPCへのアクセスが可能な状態にします。
- スタートボタン(Windowsマーク)をクリックして、設定(歯車マーク)を開きます
- 「ネットワークとインターネット」をクリック
- 「ネットワークと共有センター」をクリック
- 「共有の詳細設定の変更」をクリック
- プライベート項目内の「ファイルとプリンターの共有」の「ファイルとプリンターの共有を有効にする」にチェックをする
※もしパブリックが現在のプロファイルになっている場合は下記手順でプライベートにしてください- スタートボタンをクリックして、設定を開きます
- 「ネットワークとインターネット」をクリック
- 「プロパティ」をクリック
- ネトワークプロファイルをプライベートにチェック
以上でネットワークの共有設定は完了です。
複合機の送信先設定
事前確認事項
- コンピューター名
確認方法一例- スタートボタンを右クリックしてシステムを開く
- 「デバイスの仕様」の「デバイス名」がコンピューター名
※もしもコンピューター名に日本語が使用されている場合変更する必要があります(後述参照)
- 共有名
作成したフォルダ名(今回の例ではscan) - ユーザー名
windowsにログオンする際のユーザー名です
確認方法一例- スタートボタンをクリック
- 左上のアイコン(標準では人型)にカーソルを合わせると表示されます
- パスワード
windowsにログオンする際のパスワードです(※PINコードではありません!)
パスワードを設定されていない方は設定しましょう
忘れてしまった方は再設定しましょう
複合機設定例
使用されている複合機メーカー毎に内容が異なるかと思います。
下記は弊社Xeroxでの設定方法です。
- 宛先種別 サーバー
- 宛先名 自分の名前など自由に設定
- 索引文字 未設定でも問題ありません
- 転送プロトコル SMB
- サーバー名/IPアドレス コンピューター名 ※
- 共有名(SMBのみ) 作成したフォルダ名(scan)
- 保存場所 未設定
- ユーザー名 ユーザー名
- パスワード パスワード
- ポート番号 指定しない(標準ポート)
※コンピューター名で接続出来ない場合はPCのIPアドレスを固定した上で、IPアドレスで指定すると上手くいく可能性があります
基本設定はここまでですが、スキャン出来るようになったでしょうか。
ここからスキャンエラー対応です
スキャンエラーの原因は様々あるようですが、下記の4点を載せます
- SMB 1.0を有効化
- コンピューター名を変更
- アカウントのユーザー名を変更
- ユーザーフォルダ名を変更
SMB 1.0を有効化
Win10より標準で無効化されている機能です。
それというのもこのSMB1.0にはセキュリティ面で脆弱性が含まれており、ランサムウェア対策として自動で無効化されるようなのです。
Windowsの幾度のアップデートにより強化はされてきているようですが無効化が推奨されています。
SMBv2および SMBv3をサポートしている製品であれば有効化する必要はありません。
プリンタメーカー側で製品ごとの対応状況や対策方法がメーカーサイトに載せられていますので、
一度「メーカー名 SMB1.0」などで検索、確認してみることをお勧めいたします。
私の環境ではサポート対象のはずでしたが、なぜか「Xerox DocuWide 3035」が無効化の状態ではエラーが出たため有効化にしました。
- スタートボタンをクリックして、設定を開きます
- 「アプリ」をクリック
- オプション機能をクリック
- 右側関連設定の「Windowsのその他の機能」をクリック
- 「SMB1.0/CIFS ファイル共有のサポート」にチェックを入れOKをクリックすると設定が始まります。
- 設定が終わって再起動すると完了です。
コンピューター名を変更
コンピューター名は通常PCの初期設定時に設定するのですが、基本どんな名前も設定可能です。
ただコンピューター名が日本語の場合、複合機側からの接続ができないという落とし穴があります。
- スタートボタンをクリックして、設定を開きます
- 「システム」をクリック
- 左下「バージョン情報」をクリック
- デバイスの仕様のデバイス名が現在のコンピューター名です。
「このPCの名前を変更」をクリック - 日本語・全角文字は使用せずに名前を入力して「設定」をクリック
- 「今すぐ再起動をする」をクリックする。※作業中のファイルなどは保存・終了しておいて下さい。
- 再起動すると完了です。
アカウントのユーザー名を変更
ユーザー名は上記コンピューター名と同じくPC初期設定時に設定する項目で、どんな名前も設定可能です。
ただやはり日本語のユーザー名の場合ネットワーク上の複合機側から接続する際にエラーの元になる可能性が高いです。
下記例はローカルアカウントの場合の変更方法です。
Mcicrosoftアカウントの場合の変更方法は異なりますのでご了承下さい。
(一例としてパソブル様のリンクを貼っておきます
→ https://www.pasoble.jp/windows/10/ms-account-namaehenkou.html)
- スタートボタンをクリックして「Windows システム ツール」→「コントロール パネル」の順に開きます。
- 「ユーザーアカウント」をクリック
- 「ユーザーアカウント」をクリック
- 「アカウント名の変更」をクリック
- アルファベットで変更したいユーザー名を入力して「名前の変更」をクリック
- 一度再起動すると変更したユーザー名が表示されれば完了です。
以下は私の環境だけだと思われますが、PC内のユーザー名情報で変更されていない箇所が発生したので追加した確認・変更手順になります。
- スタートボタンを右クリックして「ファイル名を指定して実行(R)」をクリック
- 表示されたダイアログの名前に【netplwiz】を入力して「OK」をクリック
- 表示されたユーザー名が変更後のものであれば「OK」をクリックして完了です。
※もし変更前のユーザー名であれば↓を追加- 「プロパティ」をクリック
- ユーザー名に変更したはずのユーザー名を入力して「OK」
- もう一度「OK」をクリックするとダイアログが出てアインアウトを求められますので「はい」をクリック
- サインアウト後、サインインして再度1~3の手順で確認できれば完了です。
ユーザーフォルダ名の変更
まずユーザーフォルダとは、使用しているアカウントに関するデータが入っているフォルダになります。
例えばスタートメニューからドキュメントを開くと上位フォルダが無いように見えますが、
実際は「C:\Users\ユーザーフォルダ\Documents」を開いていることになります。
他にアプリ情報なども保存されているフォルダになります。
このフォルダはPCの初期設定時にされた「ユーザー名」で自動的に作成されます。
そして上記のユーザー名変更をしても原則ユーザーフォルダ名は変わりません。
複合機によっては「ユーザー名」と「ユーザーフォルダ名」が同じであることを前提に接続しようとしますので、ネットワーク共有では同じ名前に合わせておく必要があるかもしれません。
※ここからの作業は最悪パソコンが起動しなくなるなど危険性を含んでいますので、行われる方は事前にバックアップをしておくなど自己責任でお願いします。
可能であれば新規アカウントを作成して使用することをお勧めします。
Administratorアカウントにログインする
- スタートボタンを右クリックして「ファイル名を指定して実行(R)」をクリック
- 表示されたダイアログの名前に【cmd】を入力して[Shift]+[Ctrl]を押しながら「OK」をクリック
→ 「このアプリがデバイスに変更を加えることを許可しますか?」という表示が出ますので「はい」をクリックすると管理者権限でコマンドプロンプトが起動します - 【net user administrator /active:yes】と入力して[Enter]
→「コマンドは正常に終了しました。」と表示されれば準備完了です - コマンドプロンプトを閉じます。
- スタートボタンをクリック → 一番上の現在のアカウントマークをクリック → サインアウト
- ログイン画面が表示されたら「Administrator」を選択してログインする
ユーザーフォルダ名を変更する
- タスクバーアイコンの「エクスプローラー」(フォルダマーク)をクリック
- 上部アドレスバーに【C:\Users】を入力して「Enter」
- ユーザー名を変更したいフォルダを右クリックして「名前の変更」をクリック
- フォルダ名をユーザー名と同じ名前にします
- フォルダを閉じます
レジストリを書き換える
- スタートボタンを右クリックして「ファイル名を指定して実行(R)」をクリック
- 表示されたダイアログの名前に【regedit】を入力して「OK」をクリック
→ 「このアプリがデバイスに変更を加えることを許可しますか?」という表示が出ますので「はい」をクリックするとレジストリエディターが起動します - 上部アドレスバーに【HKEY_LOCAL_MACHINE\SOFTWARE\Microsoft\Windows NT\CurrentVersion\ProfileList】を入力して[Enter]
- 開いたフォルダの内、長い名前のフォルダから古いユーザー名の付いたファイルを探して見つかったらダブルクリックします
- 「文字列の編集」ダイアログが開いたら、「値のデータ」の古いユーザー名部分を新しいユーザー名に変更して「OK」をクリック
→例 C:\Users\OldUser → C:\Users\NewUser
※絶対に入力内容を間違えたり、余計な部分を消したりしないように気を付けること! - ファイルのデータ部分が間違っていないか確認してレジストリエディターを閉じます
Administratorから元のアカウントに切り替える
- スタートボタンをクリック → 一番上の現在のアカウントマークをクリック → サインアウト
- ログイン画面が表示されたら元のアカウントにログインする
Administratorを無効化する
Administratorアカウントに簡単にログイン出来ないように、無効化しておきます
- スタートボタンを右クリックして「ファイル名を指定して実行(R)」をクリック
- 表示されたダイアログの名前に【cmd】を入力して[Shift]+[Ctrl]を押しながら「OK」をクリック
→ 「このアプリがデバイスに変更を加えることを許可しますか?」という表示が出ますので「はい」をクリックすると管理者権限でコマンドプロンプトが起動します - 【net user administrator /active:no】と入力して[Enter]
→「コマンドは正常に終了しました。」と表示されれば完了です
レジストリ上の旧ユーザー名を全て書き換える
上記まででユーザーフォルダ名の変更は完了しているのですが、それまで使用してきたアプリなどは古いユーザーフォルダ名でのレジストリ情報を参照している為にエラーが多発します。
地道な作業ですが、レジストリ値を一つずつ書き換える必要があります。
(一括置換するソフト(Registry Finderなど)もありますが、ここでは紹介しません)
- スタートボタンを右クリックして「ファイル名を指定して実行(R)」をクリック
- 表示されたダイアログの名前に【regedit】を入力して[Shift]+[Ctrl]を押しながら「OK」をクリック
→ 「このアプリがデバイスに変更を加えることを許可しますか?」という表示が出ますので「はい」をクリックするとレジストリエディターが起動します - 「編集(E)」→「検索」をクリック
- 表示された検索ダイアログの「検索する値(N):」にドライブ名を含んだ古いユーザーフォルダ名を入力して「次を検索(F)」をクリック
→例 C:\Users\OldUser - レジストリの検索中…と検索が始まります
- 検索ワードと一致するレジストリが表示されたらダブルクリックします
- 「文字列の編集」ダイアログが開いたら、「値のデータ」の古いユーザー名部分を新しいユーザー名に変更して「OK」をクリック
→例 C:\Users\OldUser → C:\Users\NewUser
※絶対に入力内容を間違えたり、余計な部分を消したりしないように気を付けること! - [F3]を押すと次のレジストリの検索が始まります
→以下、5~8を繰り返して全て変更し終われば完了です